読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

しれものな日々

独身三十路女の毒吐き場

また明日には新しい方角へ

音楽

私が高校生の頃、ASIAN KUNG-FU GENERATION、略してアジカンが全盛期だった。その頃からずっと邦楽ロックを聴いている。バンプエルレストレイテナーなどを聴いて過ごしてライブにも行ける限り行った。地方住みなので行けるところは限られたけど、フリーターで平日も土日もいつでも行ける環境でチケットさえ手に入ればいつでも行けた。ワンマンライブに行くことが多かったけど、対バンライブで見たバンドを好きになってそのバンドのワンマンにも行くようになり、自分の中で音楽が広がっていくのが本当に楽しかった。知らないバンドともっともっと出会いたかった。ところが25歳を過ぎた頃、休みが暦通りの仕事に就いてライブは土日にあるワンマンにしか行かないようになり、平日に気軽にライブに行けなくなったため、新しい音楽と出会うことを避けるようになった。好きなバンドの音楽さえ聴けたらいいやと思うようになって、そしてそのまま三十路になった。

去年の夏、10年以上聴き続けているバンドの弾き語りライブに行った。ライブ自体はすごく良かったのだけれど、MC中にボーカルが「本気で死にたくなって楽に死ねる方法をネットで調べた」と言った。なぜ死にたくなったのか、何が嫌になったのかはわからないけど、彼は結婚していて子供もいて家庭があって、決して売れているバンドではないが、一般的なサラリーマンくらいの年収はあると聞いたことがある。それなのに死にたいって!私のほうが夢も希望もない、だからあなたの音楽聴いてるのに!一番売れたいと思っているのは本人たちなのはもちろんわかっているけど、こんなに好きなのにこんなにいい曲いっぱいなのにどうして売れないんだろうって思っているファンのことを置いてけぼりにしているようで悲しかった。

怒りや悲しみを本人にぶつけられなかった帰り道、どこからか一度は耳にしたことがある曲が聴こえてきた。それは[Alexandros]の『ワタリドリ』。今まで何も思わなかったのにこの日「誰も聴いていない 気にも留めない」が耳に残ったのでそのままTSUTAYAへ向かい、棚にある[Alexandros]のアルバムを全部レンタルした。iTunesにインポートしてiPhoneに入れて通勤の行き帰りずっと車で聴いた。『Me No Do Karate.』に収録されている『Starrrrrr』がまるで今の自分のことを歌ってくれているようで、決してめちゃくちゃ明るい歌詞ではないけど、憂鬱な毎日を奮い立たせるように目の前をキラキラさせてくれるような感じがして1週間毎日『Starrrrrr』だけ聴いて通勤した。再生回数はあっという間に100を超えた。病気かよ。

www.youtube.com

それから私は[Alexandros]について調べた。Wikipediaには目標が世界一のバンドになると書いてあり、30歳をとうに超えた大人がグラストンベリー・フェスティバルのヘッドライナーになることを目標に掲げていることにびっくりはしたけれど、素直にかっこいいと思った。私は子供の頃から少女漫画家になりたくて20歳くらいまでずっと漫画だけを描いて投稿してという日々を送っていたのだけど、大人になるにつれてそれは自分には無謀な夢だとわかって諦めたことを思い出した。とてもじゃないけど今の私は「漫画家になりたい」なんて言えない。だから純粋に今も夢を追い続けている彼らをかっこいいと思った。きっと何人何十人、もしかしたらそれ以上の人たちに無謀だって笑われたりバカにされたりしたかもしれない。それでも確実にバンドを大きくしている彼らはすごい。やっぱりロックは反骨精神あってこそだ。ちなみに今現在のツアーは残念ながらチケットをご用意してもらえなかった。

直接的な関わりはないけど、去年の夏「死にたくなった」と漏らしたバンドマンのおかげで私は[Alexandros]を聴くことになった。やっぱり自分の中の好きな音が増えていくのは嬉しいし楽しい。もちろんあの日「死にたくなった」と言ったバンドマンの新譜だって楽しみだ。ただのファンのエゴだけど生きている限り新しい音楽を生み出してほしいしずっと歌っていてほしい。